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考え続け、将棋を追究 藤井七冠の強さ、谷川十七世名人が語る

2023年06月02日07時08分

インタビューに答える将棋の谷川浩司十七世名人=5月17日、大阪市福島区

インタビューに答える将棋の谷川浩司十七世名人=5月17日、大阪市福島区

  • 将棋の第81期名人戦7番勝負第5局を制し、感想戦で対局を振り返る藤井聡太七冠(左)。右は渡辺明名人=1日午後、長野県高山村

 将棋界で数々の記録を打ち立て、竜王と並ぶ最高位の名人に史上最年少で到達した藤井聡太七冠(20)。強さの秘密はどこにあるのか。40年前に21歳2カ月で名人を獲得した谷川浩司十七世名人(61)は、藤井七冠の「考え続ける力」や「将棋の真理を追究するという思い」を挙げる。

藤井、最年少名人 20歳10カ月、史上2人目七冠―「八冠制覇」も視野・将棋

 藤井七冠は史上最年少の14歳2カ月でプロ入りし、デビュー戦から29連勝を達成。勝率は毎年8割を超え、タイトル戦は15戦全てを制している。
 以前は対局の序盤が不得手とされたが、高性能の将棋AI(人工知能)で研究を重ね克服した。藤井七冠の強さを語る時、AIの活用が強調されることが多いが、谷川さんは「AIで強くなる環境は全ての棋士に整っている」と否定的だ。
 藤井七冠にもAIの影響は感じられ、「人間の感覚では違和感のある手も指すことがある」という。ただそれ以上に、序盤や中盤で選択肢が無数に枝分かれし、他の棋士が途中で切り上げる局面でも、「藤井さんは考え続けて自分なりの結論を出す。その積み重ねが大きい」。もともと最後の競り合いで勝負を決める「終盤力」は傑出しており、弱点がなくなった。
 谷川さんは「普通の棋士が一つの局面で三つぐらいの選択肢を読むところ、藤井さんは五つぐらい読む。10手先、20手先にとんでもない差が出る」と指摘する。
 勝敗やタイトルが最優先ではないという姿勢も藤井七冠の特徴だ。「強くなりたい、将棋の真理を追究したい、それを貫いている」と谷川さん。この姿勢が大舞台でもプレッシャーを感じさせない要因になっているという。
 一方、対戦相手には重圧がかかる。名人戦第3局で勝利した渡辺明・前名人(39)は優位に立った終盤で1手に93分を費やした。谷川さんは「圧倒的終盤力の藤井さんだから、渡辺さんは同じ手順を10回も読んだのではないか」と、新名人の強さを感じ取っていた。

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