ウクライナへ希望を 出産経て復帰のスビトリナ―全仏テニス
2023年06月01日16時21分
【パリ時事】テニスの全仏オープン女子シングルスで、東京五輪銅メダルのエリーナ・スビトリナ(ウクライナ)が2年ぶりに出場し、3回戦に進んだ。昨秋に女児を出産。ロシアによる侵攻が続く母国の「希望」となるため、妊娠中も復帰を常に考えていたという。「ウクライナの子供たちに喜びを与えたい」との思いが原動力だ。
ロシア勢に「なぜチャンス与える」 ウクライナ・テニス選手が声明
元世界ランキング3位の28歳は、昨年10月に出産を発表。年明けにトレーニングを再開し、4月にツアーに復帰した。「試合ごとに調子が上がっている。以前よりも強くなっていると感じる」。夫のガエル・モンフィス(フランス)も男子シングルス1回戦で勝利した。
「戦争は自分を変えた」と言う。家族と過ごす時間、日々のありがたさをよりかみしめるようになった。コートに立つ時に考えるのは「ウクライナ人の闘志」だ。祖国では戦闘が続き、家族は恐怖と不安の中で生活している。「私は自分自身の最前線で戦っている。名前の横には国旗がある。悲しんではいられない」
故郷の痛ましいニュースを知ると、怒りや悲しみなどさまざまな感情が交錯する。侵攻開始から約1年3カ月、重苦しい空気から逃れられないという。「子供たちは親を失い、体の一部を失っている。ウクライナの人々は助けを必要としている。数ドルの寄付で命を救うことができるかもしれない」。自身は大会で得た賞金を母国に寄付している。周囲にも支援を切実な表情で訴えた。