選挙の厳重警護、定着なるか 非現実的の声も―警察庁「粘り強く要請」・岸田首相襲撃
2023年06月02日07時09分
有権者との触れ合いを重視する政治家側が、厳重な警護をどこまで受け入れるかが今後の焦点となる。コンサートや花火大会で観客の安全を確保する責任を主催者が負うのと同様、遊説では政治家側にその責任が生じる。警察庁は首相や閣僚などの警護対象者の遊説について、屋内での開催を優先し、自主警備態勢を強化するよう要請する。
警護計画、実効性に不備 接近許す、屋内優先など対策―岸田首相襲撃、警察庁が検証報告
しかし、ある自民党関係者は「首相や閣僚が全国を飛び回る国政選挙で、演説会場を屋内に限定するのは現実的ではない」と指摘する。公共のホールは抽選制で確保できる保証がなく、民間経営のホールだと費用がかさむ。「同じ県に複数の閣僚が入る場合、いろいろな人に聞いてほしいので1人ずつ演説場所を変える。とてもじゃないが会場を準備できない」と話す。
警察庁の担当者は「爆発物に聴衆が巻き込まれたかもしれず、主催者側に安全確保策を取ってもらう必要がある。粘り強く要請していきたい」と話す。
テロ対策に詳しい公共政策調査会の板橋功・研究センター長は「警護は警察が責任を持つべきだが、会場の安全確保は主催者側が行うというルールを作るべきだ」と提案する。「集まってくれた聴衆や支持者の安全確保は主催者側の責任。警察に押し付けるのはおかしい。政治家側と警察側は選挙中の警備や警護の在り方を議論し、ガイドラインを定めるべきだ」と話した。