トーマス・バーゲンソール氏死去 アウシュビッツ生還の国際判事
2023年05月31日07時28分
【パリ時事】ナチス・ドイツが第2次世界大戦中にポーランドに建設したアウシュビッツ強制収容所から奇跡的に生還し、後に国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)判事となったトーマス・バーゲンソール氏が29日、米国で死去した。89歳だった。ICJが30日明らかにした。
1934年、迫害を逃れるためドイツからチェコスロバキアのルボフニャに移住したユダヤ系家庭に生まれた。39年、家族と共にポーランドに渡ったが、ナチスに見つかり、ゲットー(ユダヤ人隔離居住区)に送られた。44年にアウシュビッツに強制連行され、45年、ソ連軍進軍に伴い移送されたドイツ・ザクセンハウゼン収容所で解放を迎えた。
戦後は米国に渡り、大学で法律を学んだ。2000~10年にICJ判事を務めた。当時の同僚には皇后さまの実父、小和田恒氏(90)がいた。
バーゲンソール氏が渡米前の数年を母親と過ごした独中部ゲッティンゲン市は「生涯を通じ、和解と人権のために飽くことなく運動した」とたたえた。