鍛え抜かれた足腰 霧馬山、求められる対応力―大相撲・草原からの飛躍(下)
2023年05月31日07時18分
足腰の良さとスタミナが、霧馬山の強さの源泉だ。「稽古では、とにかく前に出る」。出足の強化に取り組み、ここ数場所の安定した成績につなげた。下半身が崩れず、土俵際の粘りも光る。
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土俵での稽古以外でも、努力を重ねた。東京都内のジムに通って鍛錬。床に置いたバーベルを下半身の力で持ち上げるトレーニングでは、負荷が3年前の150キロから200キロに。トレーナーを務める小川晃司さんは「力強さが増している」と太鼓判を押す。
得意の左四つにこだわらず、突き押しでも攻めるといった器用さを併せ持つ27歳。所属する陸奥部屋付きの鶴竜親方(元横綱)は、思い描いた通りに体を動かせることが最大の強みだとみる。「いろいろな相撲を取れる。何でもできるし、運動神経もいい」と強調した。
朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜、照ノ富士と、大関に昇進したモンゴルの先輩はいずれも番付の頂点を極めた。優勝を争った夏場所は14日目に照ノ富士に屈し、対戦成績は10戦全敗に。さらに上を目指す上で、超えなければならない壁になるだろう。
最近は正代、御嶽海らが短期間で大関から転落した。鶴竜親方は「いろいろな対応の仕方を覚えていく必要がある」と課題を挙げる。「もっと強くなりたい。稽古しかない」とは霧馬山。看板力士としての責任を果たすため、己と向き合う日々が始まる。