立法裁量、詳細に検討 弁護団「一歩踏み込んだ」―同性婚訴訟
2023年05月31日07時37分
30日の名古屋地裁判決は、婚姻や家族に関する立法について国会に与えられた裁量権の範囲を詳細に検討した。その上で、同性婚を認めない現行の民法、戸籍法の規定は憲法24条2項、14条1項の双方に違反するとの結論を導き出した。
「現状を放置することは立法裁量の範囲を超えている、という一歩踏み込んだ指摘をした点に大きな意義がある」。原告側弁護団は声明を公表し、判決を評価した。
名古屋地裁判決はこれまでの3地裁と同様、婚姻の自由を保障した憲法24条1項には違反しないと判断。婚姻や家族に関する立法に関して裁量の限界を示したとされる同条2項に適合するかを検討した。
まず、同性カップルの現状について、「国の制度により公証され、その関係を保護するのにふさわしい効果の付与を受けるための枠組みが与えられるという重要な人格的利益を享受できていない」と指摘。法律婚は社会的承認を得られる点に重要な意義があるとの認識を示した。
そして、「国民の意識の変化に伴い、同性カップルが法律婚制度から一切排除されていることに疑問が生じている」と言及。現行規定は個人の尊厳に照らして合理性を欠き、立法裁量の範囲を超えて違憲と結論付けた。
この点、昨年11月の東京地裁判決は「家族になるための法制度が存在しないことは人格的生存に対する重大な脅威」と指摘したが、24条2項に「違反する状態」と述べるにとどまっていた。
また、東京地裁判決は、婚姻の自由が同性婚を想定していないことを理由に、法の下の平等を保障した14条1項にも違反しないとしたが、今回の名古屋地裁判決は札幌地裁と同様、明確に違反すると断じた。