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同性婚訴訟、再び「違憲」 「立法裁量の範囲超える」―4件目判決・名古屋地裁

2023年05月30日20時44分

同性婚訴訟の名古屋地裁判決を受け、「違憲判決」などと書かれた紙を掲げる弁護士ら=30日午後、名古屋中区

同性婚訴訟の名古屋地裁判決を受け、「違憲判決」などと書かれた紙を掲げる弁護士ら=30日午後、名古屋中区

  • 【図解】同性婚訴訟の争点と各地裁の判断

 同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は、婚姻の自由などを保障した憲法に違反するとして、愛知県の同性カップルが国に1人100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、名古屋地裁であった。西村修裁判長は現行法の規定について、「同性カップルを保護する枠組みすら与えていないのは国会の立法裁量の範囲を超える」と指摘し、違憲と判断した。原告側の請求は棄却した。

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 全国5地裁に起こされた同種訴訟では4件目の判決で、違憲判断は札幌に続き2件目。過去3件はいずれも請求を棄却したが、憲法判断は分かれていた。3件とも原告側が控訴しており、今後は高裁段階での審理が続く。
 原告側弁護団は判決後、「国に対する立法措置を直接要求するもので、同性婚の法制化に向けて極めて大きな意義を有する」との声明を発表。違憲性を認める判決が相次いだことで、国会は早急な対応を迫られたと言える。
 西村裁判長はまず、婚姻の自由を保障した憲法24条1項は同性婚について定めたものではないとし、現行法の規定は同項には違反しないとした。
 その上で、婚姻や家族に関する法律は「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定しなければならない」とする同条2項に違反するかを検討。同性カップルは婚姻に伴う法的効果だけでなく、「国の制度により正当な関係と公証される重要な人格的利益を享受できていない」と認定した。
 こうした不利益は結婚契約の公正証書作成などでは解消できないとして、「現状を放置することは個人の尊厳に照らして合理性を欠き、国会の立法裁量の範囲を超える」と指摘。現行規定は「保護するのにふさわしい効果を付与するための枠組みすら与えていないという限度で、同項に違反する」と判断した。
 同様に、異性婚と異なる取り扱いに合理的根拠は認められないとして、法の下の平等を保障した憲法14条1項についても違反するとした。
 一方、国への賠償請求は「国会が正当な理由なく長期にわたり立法措置を怠ったとは評価できない」として退けた。

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