警官刺し傷、腕から心臓貫通 もう一人は右胸被弾、確定的殺意か―長野4人殺害
2023年05月30日14時43分
長野県中野市で住民女性と警察官計4人が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された青木政憲容疑者(31)がパトカーに乗った玉井良樹警視(46)=2階級特進=ら2人を銃撃後、同警視をナイフで複数回刺し、うち1カ所が腕から心臓まで貫通する刺し傷だったことが30日、捜査関係者への取材で分かった。
警官銃撃にハーフライフル 強い威力、「スラッグ弾」発射か―長野4人殺害
銃撃には威力の強いハーフライフル銃が使われ、もう一人の池内卓夫警部(61)=同=が胸の右側を撃たれていたことも判明。玉井警視は腕に被弾し、さらにナイフで襲われた。県警は青木容疑者に確定的な殺意があったとみて、パトカーのドライブレコーダーを解析するなど詳しい経緯を調べている。
捜査関係者によると、青木容疑者は、パトカーの運転席側から窓ガラス越しに2発発砲し、うち1発が運転席の池内警部の胸の右側を貫通。助手席にいた玉井警視は腕に被弾し致命傷は免れたものの、車外に難を逃れようとした際にナイフで刺されたという。刺し傷は複数あり、うち1カ所は腕から心臓に達していた。
青木容疑者がこの直前に刃渡り約30センチのサバイバルナイフで女性を襲ったとの目撃情報があり、玉井警視も同じナイフで刺されていた。また、同容疑者は散弾銃など4丁を所有していたが、銃撃には射程がより長く、命中精度が高いハーフライフル銃が使われた。弾も殺傷能力が高く、主に鹿や熊など大型獣の猟に用いられるスラッグ弾だった可能性があるという。
事件は25日午後4時25分ごろ、中野市江部で発生。竹内靖子さん(70)と村上幸枝さん(66)が相次ぎ刺殺され、約10分後に通報を受けてパトカーで到着した玉井警視らが銃撃を受けるなどして死亡した。
青木容疑者は約12時間、自宅に立てこもった末に投降し、池内警部への殺人容疑で逮捕された。竹内さんらを襲った動機について「(独り)ぼっちとばかにされたと思った」、玉井警視らに関しては「撃たれると思い銃撃した」と供述している。