ウクライナ侵攻への意見発信を 握手拒否のコスチュク―全仏テニス
2023年05月29日15時52分
【パリ時事】テニスの全仏オープン女子シングルス1回戦で28日、マルタ・コスチュク(ウクライナ)がアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)に敗れた後、握手を拒否した。ベラルーシはウクライナに侵攻するロシアの同盟国。20歳のコスチュクは、侵攻に対する個人的な意見を発信するようサバレンカに求めた。
コスチュクは試合後の記者会見で、「サバレンカは、彼女を支持する人たちの大きなプラットフォームを持っている。彼女は発言するだけで何かメッセージを送ることができる」と訴えた。侵攻開始から1年3カ月以上が経過。父と祖父は戦闘が続く首都キーウ(キエフ)で暮らしている。
試合当日の未明にかけて、キーウはロシア軍による大規模なドローン攻撃を受けた。コスチュクは午前5時に携帯電話を確認して知ったという。「夜中に多くの通知があると、何かが起きたのだと分かる」。故郷や家族の安否に不安を抱きながらプレーを続けている。
コスチュクは「サバレンカを嫌いだと言ったことはない。この状況における彼女の立場を踏まえ、尊敬していないだけ」。サバレンカは「ロシア選手もベラルーシ選手も、この世界の誰も戦争を支持しない。1+1=2のようなもの。戦争を止めることができるならそうするが、残念ながらわれわれの手には負えない」と複雑な胸の内を明かした。