強権大統領の人気根強く 「仕事ぶり」評価―トルコ
2023年05月30日07時03分
【アンカラ時事】28日のトルコ大統領選決選投票で勝利を果たした現職のエルドアン大統領は近年、国民の政府批判に不寛容な強権体質を強め、米欧では「独裁者」とも呼ばれる。それでも、20年以上にわたり権力の座にあるエルドアン氏に対しては、イスラム教の価値観を重視する政権の実績を評価し積極的に支持する市民がなお多いことが、今回の選挙で示された。
若い頃から一貫してエルドアン氏を支持しているというイスタンブール中心部在住のメリエム・コムルジュさん(47)は「仕事ぶりと(礼拝など)イスラム教の実践」を高く評価している。「病院では以前、長い待ち時間を避けられなかった」が、エルドアン氏が各地に病院を建てた結果「すぐ診療を受けられるようになった」と話す。
「病院診療の改善」に対しては、北西部コジャエリ県の男性(37)も「エルドアン政権下では、救急車を呼んだらすぐ来てくれる」と話すなど、多くの人が口をそろえて評価する。日本企業も協力し、2020年にイスタンブールで開業した大型総合病院についても、エルドアン氏は自身の実績としてアピール。多くの市民は「大統領からのたまもの」と受け止めている。
エルドアン氏は1990年代にイスタンブール市長を務め、貧困対策や都市整備で名声を博した。イスタンブール東部で暮らす女性(44)は「市長時代にごみ、病院、水などの問題に取り組んでくれた」と語り、18歳で選挙権を得てから一貫してエルドアン氏を支持していると強調した。
2月の大地震被災地でも、甚大な被害が出たにもかかわらずエルドアン氏の人気は高い。
南部ガジアンテプ県の仮設住宅に入居するタシュデミルさん(45)は、4歳の息子に「エルドアン」と名付けるほどの大ファンだ。自宅は倒壊したが、整備された仮設住宅で「安全に暮らすことができている」という。親戚が住む隣国シリアの被災地では、救助の手が届かず多くの人が命を落としたと指摘し、「政府は家族以上に、私たちのことを考えてくれている」と被災者への対応を絶賛した。