• ツイート
  • facebook
  • hatena-bookmark
  • コメント

エルドアン大統領、保守層に浸透 野党候補はクルド接近で逆風―トルコ

2023年05月29日13時31分

28日、イスタンブールで、トルコのエルドアン大統領の再選を祝う支持者ら(AFP時事)

28日、イスタンブールで、トルコのエルドアン大統領の再選を祝う支持者ら(AFP時事)

 【アンカラ時事】28日のトルコ大統領選決選投票で当選を決めた現職のエルドアン氏は目先の経済状況より国家の安定を重視するイスラム保守層や民族主義者の間に支持を浸透させた。野党統一候補のクルチダルオール氏は、エルドアン政権の強権傾斜や経済面での失政を批判して選挙を戦ったが、少数派クルド人からの支持を求めてクルド系政党に接近したことが逆風になった。

指導力に期待、強権が影 続投のエルドアン大統領―トルコ大統領選

 2018年の前回選挙で、エルドアン氏は第1回投票で得票率52.6%となり、当選を決めた。一方、今回は得票率49.5%と当選を決めるのに必要な50%超に届かず、決着は決選投票に持ち越された。激しいインフレなどが支持低下を招いたとみられる。
 ただ、支持離れはイスタンブールなど都市部で目立つ一方、保守的な市民が多い中部、東部や2月の大地震被災地を含む南部など地方では限定的だった。背景には過去20年以上にわたるエルドアン政権下での道路や病院などのインフラ整備による恩恵が地方では大きいという事情もある。
 東部エルズルムで暮らすフセインさん(69)は「エルドアン氏はこれまでに多くの偉業を達成した」と強調。深刻な物価上昇については「法律で市場の価格を統制すればいい」と語り、強権発動をむしろ歓迎する姿勢を示した。
 また、エルドアン氏は選挙戦で、クルチダルオール氏がクルド系政党とのつながりが指摘される「反政府武装組織クルド労働者党(PKK)の支援を受けている」と主張。集会ではPKK幹部がクルチダルオール氏への支持を呼び掛けるフェイク映像をスクリーンで繰り返し流し、政権寄りのメディアがこれを放送して拡散された。
 トルコでは1980年代以降、PKKとの交戦で4万人以上の死者が出ており、政権交代となれば国家の安定が脅かされるとの懸念が市民の間で広がった。エルドアン氏は後に映像がフェイクだったと認めたものの、PKKとクルド系政党を同一視する多くの有権者の疑念は晴れず、クルチダルオール氏にとってはクルド人による支持を帳消しにしかねないほどの打撃となった。

関連記事

こんな記事も

国際用語

国際

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ