男女エースに光明 打倒中国へ―世界卓球
2023年05月28日19時23分
【ダーバン(南アフリカ)時事】南アフリカのダーバンで行われた卓球の世界選手権個人戦で、日本は過去2大会と同じ3個のメダルを獲得した。今回も上位に中国勢がひしめく中、男女の若きエース、張本智和(智和企画)と早田ひな(日本生命)はシングルスで王国の牙城を崩す可能性を感じさせた。
張本は梁靖崑との準々決勝で2―4と敗れたが、内容的には紙一重だった。昨年、世界選手権団体戦の中国戦で2勝を挙げた際は「自分でも信じられないプレー」があってのもの。今回は「何一つリスクを冒していない」と、地力で中国選手と渡り合った。初戦からの勝ち上がり方も堅実。安定したラリーなどに確かな成長を感じさせた。
日本女子を背負う立場となった早田は、準々決勝で王芸迪を激闘の末に破った。以前とは違い「同じ土俵に立って勝負しにいっていた」。準決勝で世界ランキング1位の孫穎莎に屈した後も、悔し涙がこぼれた。張本と同様、対中国の位置付けには変化があった。
全体としては改めて中国勢の壁を実感した。女子で3月に王芸迪から白星を挙げていた平野美宇(木下グループ)は、再戦となった4回戦で0―4と完敗。「基礎にも足りない部分があると改めて思った」。戦術を詰める以前に、球の質や正確性といった部分での違いを口にした選手は多い。
パリ五輪まで1年余り。日本代表の選考レースでは、今大会8強と復調ぶりを示した伊藤美誠(スターツ)が女子の7位から3位に浮上し、早田を追う2位以下は混戦となった。次の選考会は6月中旬。厳しい日程を乗り越えながら、個々の力量を磨くことが求められる。