原告カップル「存在認めて」 同性婚訴訟、30日判決―全国4件目・名古屋地裁
2023年05月28日07時07分
同性同士の結婚を認めない民法や戸籍法の規定が憲法に違反するかが問われた訴訟の判決が30日、名古屋地裁で言い渡される。全国で起こされた同種訴訟では4件目の判決で、過去3件は憲法判断が分かれている。原告で愛知県に住む公務員大野利政さん、会社員鷹見彰一さん=いずれも仮名、30代=のカップルは「私たちの存在を認める判決を」と願っている。
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2人が出会ったのは2016年秋。趣味など共通点が多く、交際を始めてすぐに結婚を意識するようになった。17年5月に東京ディズニーランドのシンデレラ城の前で、大野さんが鷹見さんにプロポーズ。一緒に住むためのマンションも購入した。
周囲から祝福され幸せだったが、法律上は「他人」のまま。住宅ローンは共同で組めず、新居は大野さんの単独名義にせざるを得なかった。病気やけがで1人が重篤な状態になっても、もう1人が病院などから家族として扱われない可能性もあり、将来への不安は尽きない。
2人は「何も無いよりは」と婚姻と同様の契約を結ぶことにし、弁護士に依頼して公正証書を作成した。全3通で計約40ページ。重婚の禁止や婚姻費用の分担、死亡時の財産贈与など男女のカップルなら婚姻届1枚で生じる民法上の権利、義務が細かく記されている。
それでも、証書の法的効力は当事者間に限られ、行政機関や病院に配偶者だと主張できるわけではない。鷹見さんは「婚姻という形を2人の中だけでも取りたかった。万一の際などに提示すれば役立つと思った」と振り返る。
19年2月の提訴から約4年間で、社会は大きく変わったと2人は感じている。同性カップルに結婚相当の関係を認める「同性パートナーシップ制度」を導入する自治体は急増。家族として利用できる企業サービスも広がった。大野さんは「国民一人ひとりが裁判に関心を持ってくれれば、より大きく世論が変わると思う」と期待を抱いている。