早田、「やっと越えた」中国の壁 果てなきジュースの末―世界卓球
2023年05月27日08時51分
互いに一歩も引かない攻防に、会場の熱気は最高潮に達した。早田が王芸迪に追い付かれて迎えた最終第7ゲーム。ジュースが延々と続き、「どうしよう。もう、やることないよ」。思わず笑みすら浮かんでいた。
8―10と窮地に立ってから、腹を決めて攻めに転じた。テンポの速いラリー戦を制して同点に持ち込むと、ここからは「気持ちの勝負」。計9度も訪れた相手のマッチポイントをしのぎ切り、21―19で決着。「あの舞台を経験できてすごくうれしかった」と感慨に浸った。
「やっと越えられた」という中国選手の壁。同学年の伊藤や平野に先行されてもどかしさを抱えていたが、ようやく周囲の期待に応えられた実感をかみしめた。
準決勝では世界ランキング1位の孫穎莎が待ち受ける。1969年の小和田敏子以来となる決勝進出が懸かり、「次も思い切って気持ちで向かっていきたい」。疲れ切った体にぐっと力を込めた。(ダーバン時事)