冬眠からの目覚め、雌だけ早く 北極圏のジリス、温暖化で
2023年05月26日07時08分
米アラスカ州の北極圏に生息するホッキョクジリス(リス科)は、春に冬眠から目覚める時期が、温暖化によって雌だけ過去約25年間で最大10日早くなったことが分かった。雄は変化がなかった。アラスカ大やコロラド州立大などの研究チームが約200匹を調査した成果で、26日付の米科学誌サイエンスに発表した。
春に早く地上に出て活動し始めると、飢えたキツネなどに食べられる危険が高まり、雄との数のバランスが崩れる。繁殖に悪影響が及んで子が減ると、長期的にはホッキョクジリスを餌にしている肉食獣も減る恐れがあるという。
調査は北極圏2カ所で実施。ホッキョクジリスに体温計を付け、気温や地下約1メートルの冬眠場所の温度とともに測定した。その結果、成体の雌が冬眠から目覚める時期は10年当たり4日のペースで早まり、約25年間では最大10日早まった。
冬眠中は体温が周期的に上下し、体の表面は0度を下回ることもあるが、脳を守るために体内で熱を発生させている。温暖化で冬の地下の温度があまり下がらなくなると、熱を発生させるためのエネルギー消費が減るメリットがあるが、早く地上に出て食べられてしまうデメリットの方が大きいと考えられる。