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照ノ富士を追う霧馬山と朝乃山、残り3日間の使命〔大相撲夏場所〕

2023年05月25日21時13分

大相撲夏場所12日目、貴景勝(下奥)を寄り切って2敗を守った霧馬山=25日、東京・両国国技館

大相撲夏場所12日目、貴景勝(下奥)を寄り切って2敗を守った霧馬山=25日、東京・両国国技館

  • 大相撲夏場所12日目、大栄翔(手前)に押し出されて2敗目を喫した朝乃山=25日、東京・両国国技館

 大相撲夏場所12日目(25日、東京・両国国技館)、優勝争いの先頭を行く横綱照ノ富士が1敗を守った。2敗目を喫した前頭の朝乃山が関脇霧馬山とともに1差で続く展開。あと3日間、優勝争いの興味を千秋楽までつなぐことができるか、この2人に懸かっている。

◇2年のブランクか、朝乃山完敗

 1敗で照ノ富士と並んでいた朝乃山は、関脇大栄翔に完敗した。左で踏み込みはしたが、下から小刻みに突き起こされるとたちまち後退し、下がりながら引いて万事休す。「受ける形になってしまった。足が運べていないから最終的に攻められて引いてしまった」と反省ばかりが口をついた。

 前日は明生に土俵際まで寄られ、辛くも突き落として逆転勝ちしている。不祥事による出場停止と番付の転落を経て、2年ぶりに幕内上位と対戦し、前に出る力の違いを実感したところだったが、この日は残す間も与えてもらえなかった。

 2年ぶりに役力士と顔が合い、館内も盛り上がる幕内後半の土俵。仕切りから緊張が見て取れ、取組後も素直に認めたが「雰囲気は言い訳になるんで」とすぐ口を結んだ。

◇霧馬山33勝目、相撲内容も上向き

 霧馬山は大関貴景勝に完勝した。貴景勝の当たりに後退せず、跳ね上げて右を入れると素早く下手を引き、腕を返して寄り立てる。こうなると抵抗できないかど番大関を、そのまま土俵下へ追いやった。

 10勝目を挙げ、これで直近3場所の成績が小結で11勝、関脇で12勝の優勝と合わせ33勝。大関昇進の目安とされる勝ち星に達した。

 相撲内容は8日目あたりから上向き、この日は今場所一番の勝ちっぷりだった。本人も「ちょっとは自分からまっすぐ当たるようになってきた」という。

 ただ、番付編成を預かる審判部には、変化や引き技が目立った前半戦の悪い印象もまだ残っており、残り3日間次第ではムードがしぼむ可能性もある。「まだ3日間ある」と霧馬山。

◇照ノ富士を上回る気概を

 13日目、朝乃山は照ノ富士戦が組まれた。過去5度対戦したが、右四つの形が見劣りして一度も勝てないまま、出場停止中に照ノ富士は大関、横綱と駆け上がった。

 「思い切っていくしかない。(気持ちが)たかぶってもいいことないので」と言う朝乃山にとって、現時点での照ノ富士との差を測る一番の意味は大きいだろう。

 霧馬山は、身長2メートル4センチの長身で話題の北青鵬と初めて顔が合う。大関になれば下位力士の挑戦を受ける立場になるが、その前から入幕2場所目の新鋭に取りこぼしては印象が悪い。

 そして何より霧馬山と朝乃山には、千秋楽まで盛り上げる使命がある。横綱が先頭を行き、大関候補と大関経験者が続く展開は、久々に「番付」を感じさせる優勝争いだからだ。

 単独トップに立った照ノ富士は、優勝争いについて「15日間無事に終わることしか考えていない」と答え、すぐに「無事に終わるということは、最後まで優勝争いに絡まないといけない」と続けた。2人が来場所以降に背負う期待を考えても、照ノ富士を上回るほどの使命感と気概を見たい。(時事通信社 若林哲治)

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