特別保存検討も廃棄 神戸児童殺傷など4事件―最高裁報告書
2023年05月26日08時14分
最高裁が25日公表した裁判記録廃棄の報告書では、神戸連続児童殺傷など4事件で、特別保存が検討されたにもかかわらず記録が廃棄されていたことが明らかになった。長崎県で起きた中学生による男児誘拐殺人(2003年)、佐世保小6女児同級生殺害(04年)の2事件については、長崎家裁が「全国的に社会の耳目を集めた事件ではない」と判断していた。
歴史的資料の意識薄く 「特別保存ルール、機能せず」―現職判事ら自省・記録廃棄
報告書によると、神戸市で1997年に起きた連続児童殺傷では、神戸家裁の管理職が特別保存の要件に該当する可能性があると考え、所長らに相談。所長は自身が特別保存を検討する立場にあるとの認識がなく、判断を示さなかった。
この管理職は、同家裁では特別保存の前例がないと聞いていたことなどから、廃棄を指示。「前代未聞の事件で、貴重な資料になるから保存すべきだ」との意見も出たが、所長に伝わることはなかった。
男児誘拐殺人では、特別保存の相談を受けた長崎家裁の管理職が「全国的に社会の耳目を集めた事件ではない」と判断。少年事件記録が調査研究対象になった事例を聞いたことがなかったといい、記録庫の狭さを踏まえて所長に諮らず廃棄した。
小6女児同級生殺害でも、同家裁の管理職が佐世保支部からの相談を、所長に伝えることなく判断。管理職は「前年の男児誘拐殺人よりは社会の耳目を集めたが、地域限定的な事件との印象。全国的な事件ではない」として、特別保存は不要としていた。