日韓関係改善が後押し 海自艦、旭日旗掲げ釜山港へ
2023年05月26日07時06分
海上自衛隊の護衛艦が今月末に韓国が主催する多国間訓練に合わせ、自衛艦旗である「旭日旗」を掲げて韓国・釜山港に入港する方向で調整が進んでいる。6月には4年ぶりとなる日韓防衛相会談も開催される運びで、安全保障分野での日韓協力が正常化へ動きだした。
旭日旗を巡っては2018年10月、韓国の文在寅政権が「日本軍国主義の象徴」と見なし、主催する国際観艦式で旭日旗の掲揚自粛を求めた。国際ルールは国籍を示す標識を掲示することになっており、反発した海自は参加を見送った。
今回、海自艦が旭日旗を掲げて韓国に入港する方向となったのは、日韓関係改善の動きを踏まえたものだ。岸田文雄首相と尹錫悦大統領は今年3月以降、首脳会談を3回開催。徴用工問題で「政治決着」を図り、冷え切っていた関係が好転した。
韓国国防省の報道官は25日の記者会見で、旭日旗の掲揚を「国際的な慣例だ」と述べ、問題視しない考えを示した。自衛隊幹部は「旭日旗など各国軍の旗を掲揚するのが国際常識。韓国が正しい方向に戻った」と歓迎している。
日韓間に残る安保問題の懸案は、18年12月に発生した韓国軍艦艇よる海自哨戒機への火器管制レーダー照射問題で、両国の主張は対立している。防衛省幹部は「懸案を不問にはしないが、関係改善という大きな流れの中で、防衛当局として取り組む必要がある」と柔軟な姿勢をにじませる。
6月の浜田靖一防衛相と李鐘燮国防相の日韓防衛相会談では、レーダー照射問題解決に向けて意見を交わすことになる。その上で、北朝鮮の弾道ミサイル情報を日米韓で即時共有するため、協議を加速させる見通しだ。