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処理水、世論説得に苦慮 「科学的根拠」強調も根強い不安―韓国

2023年05月25日07時06分

東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に反対する韓国の市民団体=20日、ソウル(EPA時事)

東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に反対する韓国の市民団体=20日、ソウル(EPA時事)

  • 23日、福島県双葉町で、記者団の取材に応じる劉国熙・原子力安全委員長(EPA時事)

 【ソウル時事】韓国の尹錫悦政権は、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出の計画を巡る視察団派遣を通じ、安全性を疑問視する世論の不安の払拭(ふっしょく)を図りたい考えだ。韓国政府は「科学的根拠」を尊重するとの立場だが、野党などからは処理水放出を容認するつもりではないかと批判にさらされ、説得に苦慮している。

韓国団長「安全性評価で進展」 処理水巡り現地視察終了―福島原発

 「私たちが集中しようとしているのは科学の領域だ」。韓国メディアによると、福島第1原発の初日の視察を終えた23日夜、視察団団長を務める劉国熙・原子力安全委員長は国内の根強い不安を念頭に、記者団にこう強調した。
 韓国政府は、処理水放出が「科学的、客観的に国際基準に沿った透明性をもって行われるべきだ」(朴振外相)との立場。だが、韓国側による試料採取ができないことなどから、視察の実効性を疑問視する声もある。政府は、視察結果を客観的に評価するため、民間の専門家も含めた「諮問グループ」を構成し、透明性を確保する方針だ。
 最大野党「共に民主党」の李在明代表は24日の党の会議で、国会での視察団の聴聞会開催を求める考えを表明。李氏は「政府が国民の生命保護の責任から目を背けるなら、国会が立ち上がるしかない」と訴えた。
 国際原子力機関(IAEA)が「問題なし」と結論付け、「今年夏ごろ」とされる処理水放出が実行されれば、韓国世論の反発は必至だ。日韓関係の改善を軌道に乗せたい尹政権としては、独自の視察の成果も示すことで国民の理解を得たい考えだが、道のりは平たんでなさそうだ。

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