インド、係争地でG20会合開催 パキスタン・中国が反発
2023年05月24日07時06分
【ニューデリー時事】インドとパキスタンの係争地カシミール地方で、20カ国・地域(G20)の会合が22日に始まった。パキスタンは「不法占拠を永続させるための利己的な措置だ」と、開催を決めた議長国のインドを非難。同じくインドと領土紛争を抱え、G20加盟国である中国も反発し、会合を欠席した。会合は観光分野の作業部会で、24日まで開かれる予定。
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パキスタンは英領インドからの分離独立以来、カシミールの領有権を争ってきた。パキスタンのブット外相は21日、カシミールのパキスタン側支配地域を訪れ、「占領されたカシミールでのG20開催は国際法違反だ。インドは会合を通じカシミールを抑圧することはできない」と批判した。同地域では住民による抗議デモが行われた。
会合の開催地スリナガルはインド側支配地域にある風光明媚(めいび)な都市。インドは2019年、スリナガルが位置し、国内で唯一イスラム教徒が多数派を占める北部ジャム・カシミール州の自治権を剥奪し、連邦直轄地とした。これをきっかけにパキスタンとの緊張がさらに高まった。
連邦直轄地となった後、スリナガルで主要な国際会議が開かれるのは初めて。インドメディアは治安当局がテロを警戒し、厳重な警備に当たる様子を伝えている。
パキスタンの立場を支持する中国も反発している。中国外務省の汪文斌副報道局長は19日の記者会見で「係争地におけるいかなる形式のG20会合にも断固反対だ」と述べ、欠席を表明した。
中国のG20会合の参加見送りは初めてではない。報道によると今年3月、中国はインドが実効支配する北東部アルナチャルプラデシュ州で開かれた非公開の会合を欠席した。同州は中国も領有権を主張している。
一方、日本は係争地を巡り「特定の立場は取らず、いずれの味方もしない」(日本政府筋)スタンス。今回の会合は、日程の都合で日本から代表団を派遣せず、在インド大使館の担当者が出席したという。