中国との分断求めず 「建設的関係」を模索―G7声明
2023年05月21日07時04分
先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で20日発表された首脳声明は、中国政策について「デカップリング(分断)」を目指しているのではないと強調した。声明に突出した対中批判の表現はなく、「建設的で安定した関係」構築に向け、中国に対話を促す基調となった。
サミットは20日、新興・途上国「グローバルサウス」の代表格であるインドのモディ首相やブラジルのルラ大統領を加えた日程に入った。厳しい中国非難を打ち出すと、日米欧と中国・ロシアのはざまでバランスを取るグローバルサウスの引き寄せにマイナスに働くという計算があった可能性もある。
声明は「われわれの政策は中国に損害を与えようというものではなく、中国の経済的発展の阻害を企てているわけでもない」と表明。デカップリングではなく、過度な対中依存に伴うリスク低減(デリスキング)のための措置を取るとうたった。
ロシアのウクライナ侵攻に絡んでは、2022年のドイツ・エルマウサミットの首脳声明同様、即時・無条件のロ軍撤退に向け、ロシアに圧力をかけるよう中国に要請。懸念されている中国によるロシアへの武器供給に関しては、直接の言及はなかった。
台湾情勢では、21年の英コーンウォールサミットやエルマウサミットの声明を踏襲し、「台湾海峡の平和と安定の重要性」を再確認するとした。チベットや新疆での人権侵害に「深刻な懸念」を示した点も、エルマウの声明と同じだった。