豪、クアッドてこに経済安保強化 有志国で対中リスク低減―広島サミット
2023年05月21日00時28分
【シドニー時事】オーストラリアは日米豪インド4カ国の枠組み「クアッド」をてこに、経済安全保障の強化を目指す。経済面で中国の威圧的な行動が目立つ中、レアアース(希土類)など重要鉱物の産出国として、民主主義の有志国で新たな供給網の構築を進め、日米印などから投資を呼び込みたい考えだ。
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インド太平洋地域で影響力拡大を図る中国への対応は、豪州にとって重い課題。軍事面では米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の下で原子力潜水艦配備計画などを進め、抑止力強化に努めている。ただ、「原潜で経済的威圧は防げない」(外交関係者)ことから、クアッドを活用して供給網を巡る対中リスクの低減を狙う。
中国は豪州の最大貿易相手国で、鉱物資源が豊富な豪州への中国の投資も活発だ。しかし、防衛、脱炭素技術に欠かせない戦略物資のレアアースやリチウムなどの権益を中国に独占的に握られることを豪州は強く警戒。3月には中国企業のレアアース開発投資案件を不承認とした。
キング資源相は「有志国と協調することで、強靱(きょうじん)かつ持続可能な供給網を築くことができる」と訴え、日米印からの投資拡大に期待を寄せる。さらに豪州は、クアッドを土台として韓国やカナダ、欧州諸国にも協力関係を広げることを視野に入れている。