荷主企業も計画作成を 物流効率向上へ法改正視野―「2024年問題」に対応・国の検討会
2023年05月19日14時50分
国土交通省などの有識者検討会は19日、トラック運転手の不足が懸念される「2024年問題」に対応するため、物流業界の労働環境改善に向けた最終取りまとめ案を示した。輸送効率を高めて運転手の労働時間を減らす観点から、規模が大きい荷主企業や物流事業者に改善計画を作成するよう求める。政府は法改正を視野に入れ、制度見直しをさらに検討する。
取りまとめ案では運転手の待機時間や納品回数の縮減を目的に、「中長期計画」の作成と定期報告を義務付ける仕組みを提案。取り組みが不十分な場合は、勧告や措置命令などを行う。荷主企業には、物流担当者だけでなく会社全体で改善を目指してもらうため、役員などを物流の管理責任者に任命するよう要請する。
一方、改善に取り組む荷主企業や物流事業者をランク付けして評価する仕組みも創設。努力した企業への優遇措置を検討する。
また、下請け事業者への運送委託が連続するトラック業界の「多重下請け構造」を問題視。下請け事業者が十分な運賃を受け取れるようにするため、荷主や元請け事業者が委託の状況を把握できる下請け事業者リストの作成などをトラック事業者に求める。