「反転攻勢」支援に期待 G7結束へトップ外交―ウクライナ
2023年05月19日07時13分
ウクライナのゼレンスキー政権は、広島市で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、侵略国ロシアへの大規模な反転攻勢を準備するウクライナに対する支援が再確認されることを期待している。開始から間もなく1年3カ月と侵攻が長期化する中、西側諸国に「ウクライナ疲れ」と「対ロ妥協論」が広がるのを危惧し、外交攻勢にも出ている。
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「成功する準備はほぼできている」。侵攻後に初めてドイツを訪問したゼレンスキー大統領は14日、ベルリンでの記者会見で、さらなる軍事支援を反転攻勢に生かせるという自信を強調した。
ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトでは、ロシアが誇らしげに祝う9日の対ドイツ戦勝記念日に合わせたかのように、ウクライナ軍の反転攻勢の予兆が見られた。ただ、ゼレンスキー氏は国内で重大局面を眺めるのではなく、勝利に向けててこ入れを図ろうと、トップ外交を展開した。
広島サミットを前に、ゼレンスキー氏は欧州のG7メンバー国を行脚。13日にはメローニ政権発足時に親ロ傾斜が懸念されたイタリアを訪問。14日にはドイツに続き、対中融和姿勢が疑われたフランスへと向かった。ロシアに有利な「和平案」を掲げる中国になびく国が出れば、対ロ結束はゆらぎ、ウクライナにとっては悪夢だ。
マクロン仏政権は装甲車の供与を約束し、言葉だけでなく行動で支援の姿勢を表明した。ゼレンスキー氏は侵攻下で最も信頼する英国も15日に訪れ、あとはサミットを待つばかりとなった。西側諸国では、主力戦車だけでなく、戦闘機を供与するシナリオも現実味を帯びている。
だが、ウクライナの反転攻勢により、戦闘がさらに激化して情勢が悪化の一途をたどった場合、G7が対ロ強硬論でまとまり続けられる保証はない。ゼレンスキー政権は、ロシア軍撤退を柱とする自国の「和平案」を後押しするためにも、反転攻勢の時期を慎重に選ぶとみられる。