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核の現状、識者に聞く 広島サミット(2)

2023年05月17日07時04分

インタビューに応じる米ハドソン研究所の村野将氏=4月21日、ワシントン

インタビューに応じる米ハドソン研究所の村野将氏=4月21日、ワシントン

 ◇ルールなき軍拡新時代=米国の戦力増強必至―ハドソン研究所・村野氏

日米、閣僚協議新設を=拡大抑止確保に課題―元オバマ政権高官ロバーツ氏

 ―核を巡る現在の安全保障環境は。
 日本を含むルールに基づく国際秩序の現状維持国と、核武装した現状変更国との対立が顕在化している。核の脅しによる現状変更の試みが如実になったのが、ロシアのウクライナ侵攻だ。中国は2035年までに米ロの水準に匹敵する核能力を持つとされる。「核なき世界」とは真逆の、軍備管理なき新たな核軍拡の時代に直面し、われわれはそれに備えざるを得ない。
 ―米国の核政策はどう変化していくか。
 ロシアが新戦略兵器削減条約(新START)の履行停止を宣言し、冷戦期に米ソ間で合意された軍備管理は、ほぼ全て崩壊した。中国とは最初から軍備管理の約束がない。米国が二つの核武装国に同時に対処することは一層困難になっており、核戦力の量的増強を決断せざるを得ない。冷戦以降続けてきた核軍縮を逆転させる歴史的な決断になる。
 ―核戦力の増強とは。
 短期的には、古い核弾頭を爆撃機やミサイルの余剰スペースに再搭載する。長期的には、新型の核弾頭を開発・配備していく。核産業インフラの再稼働と拡大が必要だ。サイバー攻撃や対宇宙攻撃によって、米国の早期警戒能力が失われるシナリオにも備えなければならない。
 ―増強の時間軸は。
 30年代に中国の核が米ロに匹敵すると考えれば、今から始めないと間に合わない。
 ―日本国内には米国の拡大抑止の実効性を不安視する向きもある。日米はどう対応すべきか。
 不安なら、どうしてほしいかを伝えなければならない。そのためには日本国民が米国の取り組みを知る必要がある。一方、「見える抑止」として西太平洋への米軍の爆撃機や戦略ミサイル原子力潜水艦の展開頻度を高めるのも良いだろう。
 ―米軍と自衛隊の協力について。
 日本が導入する「反撃能力」と米軍の打撃力をどう組み合わせるか、議論が必要だ。中国や北朝鮮は核・非核両用のシステムを持っている。通常戦力による攻撃でも、相手は核システムへの攻撃と捉え、核エスカレーションに発展する可能性がある。「反撃能力をいつ、どう使うか」は「米国の核をいつ、どう使うか、使わないか」という議論と合わせて進めていかなければならない。
 ◇村野将氏略歴
 村野 将氏(むらの・まさし) 拓殖大国際協力学研究科安全保障専攻博士前期課程修了。岡崎研究所を経て米ハドソン研究所研究員。日米防衛協力や抑止論が専門。36歳。

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