広島サミット、何を話し合う? 対中ロ、核軍縮が焦点―ニュースQ&A
2023年05月15日04時16分
先進7カ国首脳会議(G7サミット)が19~21日に広島市で開催される。ウクライナ侵攻を続けるロシアや、覇権主義的な動きを強める中国への対応に加え、被爆地から「核兵器のない世界」実現に向けたメッセージをどう打ち出すか。地元選出で議長役の岸田文雄首相の手腕が問われる。
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―G7サミットって?
G7は「グループ・オブ・セブン」の略称で、日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの7カ国がメンバーだ。各首脳が参加するサミットでは、世界経済や地域情勢などを幅広く議論する。毎年、持ち回りで開催され、今年は日本が議長国を務める。国内各地では4月以降、テーマ別に計15の閣僚会議も順次、行われている。
―サミットの起源は?
1971年の「ニクソン・ショック」や73年の第1次石油危機で世界経済が混乱したことがきっかけだ。第1回は75年、フランスの提案でパリ郊外ランブイエに、カナダを除く6カ国が集まった。7カ国での開催となったのは翌76年からだ。冷戦終了後の94年にロシアが加わり、一時は「G8」と呼ばれたが、2014年のクリミア併合で排除された。それ以降、G7とロシアの対立が強まっている。
―参加者はそれだけ?
欧州連合(EU)代表もメンバーだ。また、議長国の招待枠があり、今回は韓国、インド、オーストラリア、ブラジルなど8カ国の首脳、国連、世界保健機関(WHO)など計7の国際機関のトップが出席する。ウクライナのゼレンスキー大統領もオンラインで参加する予定だ。
―日本で開催したことは?
79、86、93年は東京、00年は沖縄、08年は北海道、16年は三重で、それぞれ開かれた。今回で7回目だ。
―なぜ広島開催なの?
ロシアがウクライナで核兵器による威嚇を行う中、平和へのメッセージを発信するのに最もふさわしいとの考えからだ。名古屋市や福岡市も立候補したが、核廃絶をライフワークとする首相の意向が決定打となった。核保有国の米英仏からも強い異論は出ていない。首相が外相を務めていた16年にG7外相会合を開催した実績もある。
―何を議論するの?
対ロシア制裁やウクライナ支援、中国や北朝鮮など東アジア情勢、核軍縮が主要テーマだ。食料・エネルギー安全保障、気候変動対策も議題となる。さらに、人工知能(AI)を巡る国際的なルール形成が、新たな焦点に浮上している。