「反スパイ法」コンサル会社標的 機密情報の流出警戒―中国
2023年05月10日08時25分
【上海時事】中国の国家安全当局が「反スパイ法」に基づき、国内で活動するコンサルティング会社を標的に取り締まりを強化している。中国メディアは8日、当局が米中に本拠を置く大手コンサル会社を捜査していると一斉に報道。当局者は捜査対象の会社が「国家の敏感なデータを違法に取得し、国家の安全を重大な危険にさらした」として、責任を追及する意向を示した。
中国メディアによれば、江蘇省蘇州市国家安全局などはこのほど、コンサル大手の凱盛融英信息科技(キャップビジョン)子会社を捜索し、従業員を尋問。同社は地方の党・政府や国防・科学・工業分野の人員と頻繁に接触したり、高額の報酬でコンサルタントを雇い入れたりして「国家の敏感なデータ」を入手していたとされる。
中国は4月26日に反スパイ法を改正し、スパイ行為の定義を拡大。「国家の安全や利益に関わる文書、データ、資料、物品」の窃取なども対象とした。報道によれば、上海や北京などでも取り締まりを実施しており、米中対立が激化する中、コンサル会社を通じて機密情報が国外へ流出することに神経をとがらせているもようだ。
中国当局は3月に米企業調査会社ミンツ・グループの北京事務所を捜索し、現地従業員を拘束。4月には米コンサル会社ベイン・アンド・カンパニーの上海事務所を訪れて従業員を尋問し、コンピューターや携帯電話を押収した。いずれも反スパイ法を根拠とした取り締まりの一環とみられる。