双方が「勝利確信」 サウジで停戦交渉続く―スーダン
2023年05月09日13時32分
【ハルツームAFP時事】スーダンでは8日も空爆が続く中、対立双方はサウジアラビアで停戦実現を目指す協議を続けた。匿名を条件にAFP通信の取材に応じたサウジ外交官は「大きな進展」は8日まで一切なかったと協議の様子を語った。「どちらも戦闘で勝てると確信している。恒久停戦なんて議題にもなっていない」と述べた。
サウジ外務省によると、協議を仲介するサウジ政府から「恒久的な敵意の停止に向けた協議延長のための日程表」を対立双方に提示しようとしている。戦闘を「たとえ短くても実際に停止する」ところまで持っていけるよう「あと数日は」交渉を続ける決意でいる。
戦闘を停止させている間に、まずは支援物資をスーダンに搬入する道筋を付けなければならない。そして、基礎的な生活のインフラを急いで立て直す必要がある。カタールに8日、スーダン北東部ポートスーダンから空路、逃れて来たという女性は、スーダンの現在の暮らしについて「水も燃料も薬も病院も医師も何もかもがない」と語った。
米NGO「武力紛争地域事件データプロジェクト(ACLED)」は、スーダンで続く戦闘の死者が750人を超えたと推計している。国連によると、西ダルフール州だけで約200人が死亡した。
国連報道官は8日、スーダンでは今、国連だけでなく援助団体のNGOの施設まで「大々的な略奪」を受けていると批判した。先週末にはついにハルツームの国連世界食糧計画(WFP)事務所も襲われた。支援が止まればスーダンでは広範な人道危機が発生すると警告している。
スーダンの専門家の間では、スーダン軍トップのブルハン統治評議会議長を裏でエジプトが支え、敵対する準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」のダガロ司令官の背後にはアラブ首長国連邦(UAE)がいると疑われている。ハルツームのシンクタンク関係者は、ジッダ入りした対立双方の代表団について「サウジや米国に取り入ろうとしているだけだ」と指摘した。