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LGBT擁護、問われる日本 サミット前の法整備厳しく

2023年05月08日07時03分

先進7カ国(G7)外相会合に臨む(中央奥から反時計回りに)林芳正外相、ブリンケン米国務長官ら=4月18日、長野県軽井沢町

先進7カ国(G7)外相会合に臨む(中央奥から反時計回りに)林芳正外相、ブリンケン米国務長官ら=4月18日、長野県軽井沢町

 先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)開幕が19日に迫り、ジェンダー平等への日本の姿勢が問われている。超党派でまとめたLGBTなど性的少数者の理解増進法案は、自民党保守派の反対で提出のめどすら立たない。首相の指導力も見えず、価値観を共有するはずのG7で議長国日本の立ち遅れが目を引きかねない状況だ。

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 理解増進法案について、首相は4月3日の参院決算委員会で「多様性を尊重する社会に向け努力する方向性を、国際社会にしっかり示さなければならない」と述べ、早期成立に期待を示した。
 今年2月、性的少数者への差別発言で首相秘書官を更迭した際には、自民党に議論を進展させるよう指示した。だが、党内では法案に盛り込まれた「差別は許されない」などの文言を、保守派が容認していない。首相が信頼を寄せる政調会長は4月26日、「サミットで時間を切るのは筋が違う」と記者団に言い切った。首相が指導力を発揮しているとは言い難い状況だ。
 国際社会は、日本の法制度を不十分と見なしている。国連人権理事会は今年2月、日本に対する同性婚の法整備勧告を含む審査報告書を採択。首相秘書官の差別発言が明るみに出ると、G7の駐日大使らが性的少数者の権利保護に向けた法整備を促す首相宛ての非公式書簡を取りまとめた。
 そもそもG7は、ジェンダー平等推進の議論を主導してきた歴史がある。昨年のドイツ・エルマウサミットは共同声明で「性自認や性的指向に関係なく、差別や暴力から保護することへの完全な関与」を宣言。今年4月、長野県軽井沢町で開かれた外相会合でも、性的少数者らの権利保護に関し、G7が世界を主導することを確認した。
 日本を除くG7各国には、同性婚やパートナーシップ制など同性カップルの権利を保障する法制度がある。性的指向などを理由とする差別を禁止する法律条項を設けている国も少なくない。欧米の現状を踏まえ、LGBT議員連盟幹部は「理解増進法案でも不十分だ」と焦りを隠さない。
 サミットをにらみ、法案の早期成立を促す声は与野党から上がっている。公明党の代表は「サミット前に法案を成立させることが望ましい」と強調。ジェンダー平等に尽力してきた立憲民主党の衆院議員も「日本が価値を共有する国であることを発信する場として、首相自らがリーダーシップを取るべきだ」と求めた。

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