「差別」訴えるシリア難民 生活空間を分離―トルコ被災地
2023年05月06日07時30分
【カフラマンマラシュ時事】2月6日のトルコ大地震で家を失ったシリア難民の間で、トルコ人被災者との「差別」を訴える声が噴出している。被災者の避難生活が長期化する中、当局はトルコ市民と難民の生活空間を隔てる対応を取っており、これが不当な区別と見なされて不満の増幅に拍車を掛けている側面もあるようだ。
南部の被災地カフラマンマラシュ県中心部にある「7月15日国民公園」に設けられたテント村の住人は大半がシリア難民。5月3日時点で数千人が滞在している。多くの人々は地震発生直後、別のキャンプでトルコ人被災者と共に暮らしていたが、当局の指示で3月、この公園に移動したという。
11年前に内戦下のシリアから逃れてきたアシエさん(39)は、夫と5人の子供と共にこの公園で暮らし、現在6人目を妊娠中。「トルコ人と別々になった後、水や服、おむつなどの支援が減った」と苦渋の表情を浮かべた。
メルベ・カフヤさん(22)は「差別」について、キャンプを視察に訪れたトルコ政府高官に訴えようと試みた。しかし、訪問直前に当局者から「(高官には)生活に何も問題なく、幸せだと言ってほしい」と促されたため「(現実を)告げることができなかった」と悔やんでいた。
トルコ当局は言語が異なることによる意思疎通の問題や生活習慣の違いに配慮し、トルコ市民とシリア難民の生活空間を分ける措置を取ったとみられる。また、被災したトルコ市民の間では、地震前から外国の支援があった難民の方が「より手厚いサポートを提供されている」と信じて疑わず、シリア人への反感を募らせる人も多い。当局が被災者間の衝突を避ける必要に迫られていたのも実態だ。