新時代の英王室、安泰か 若者は無関心、共和制要求も―6日にチャールズ国王戴冠式
2023年05月03日07時19分
【ロンドン時事】昨秋即位したチャールズ英国王(74)の戴冠式が6日、ロンドンで行われる。70年在位した故エリザベス女王を継ぐ新国王の下、王室が「新たな時代」へと船出する歴史的節目だ。ただ、伝統と格式を重んじる王室には「時代遅れ」と批判も付きまとい、若者をはじめ無関心層も少なくない。反君主制の動きも目立ってきており、王室が将来にわたり安泰であり続けられるのか、課題は多い。
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昨年9月に96歳で死去したエリザベス女王は、公務への献身的な姿勢から国民の支持は厚かった。王族が関わる数々の醜聞が続いても「女王の人気」で王室への評価は比較的安定していた。英国史を彩ってきた君主制は昨年まで「女王が健在なうちは安泰」とみられてきた。
一方、後継のチャールズ国王は英史上最高齢とされる73歳での即位となった。「新時代」を担う新鮮さには乏しい。即位前から、自身の離婚や不倫問題などで君主としての「適性」が問われ続けた。長男ウィリアム皇太子への譲位を求める声もいまだくすぶっている。
最近の世論調査で、戴冠式に「関心がない」と答えた人は6割を超えた。18~24歳の間でこの割合は75%に達した。
女王時代にほとんど見られなかった反王室運動も注目を集めている。最近、国王が公務で訪れる先々では、圧力団体「リパブリック(共和制)」によるデモが頻繁に行われ「ノット・マイ・キング(私の王ではない)」と書かれたプラカードを掲げ反君主制を主張している。国王が卵を投げ付けられる騒ぎも2回起きた。
リパブリックのグレアム・スミス代表によると、女王存命中は国民感情に配慮し表立った抗議活動を控えてきた。しかし、チャールズ国王は「批判する要素が十分ある」(同代表)。戴冠式当日も、パレードの沿道で1000人以上がデモを行う計画だ。世界が注目する国王の「晴れ舞台」に混乱が生じる可能性もある。