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「核の傘」疑念解消へ前進 「米と事実上共有」と誇示―韓国大統領

2023年04月27日19時05分

26日、ワシントンで握手を交わす韓国の尹錫悦大統領(左)とバイデン米大統領(EPA時事)

26日、ワシントンで握手を交わす韓国の尹錫悦大統領(左)とバイデン米大統領(EPA時事)

  • 北朝鮮が発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)=3月16日、平壌(朝鮮中央通信提供)(AFP時事)

 米韓首脳は26日、核を含む米国の戦力で韓国を防衛するの強化に向けたワシントン宣言を発表し、北朝鮮の脅威を背景に韓国の一部にある米国の「核の傘」に対する疑念の解消に努めた。韓国の尹錫悦大統領の求めに、バイデン米大統領が一定程度応えた形だ。ただ、米国が核政策を変更したわけではなく、外交成果として韓国世論の評価を得られるかは不透明。対日外交での批判を挽回できるかは予断を許さない。
 ◇抑止強化「過去と違う」
 「ワシントン宣言で具体化されたの強化策は、過去とは(レベルが)違う。国民の懸念は多くが解消されるとみている」。尹氏は会談後の共同記者会見で胸を張った。大統領府関係者も「米大統領が特定の同盟国に、核抑止のための具体的なプランを直接約束した初の事例だ」と説明した。
 北朝鮮は昨年来、米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射や、戦術核による韓国攻撃を想定した動きを加速。韓国では核武装論が強まるとともに、米国が有事の際、本当に核で報復するのか、懸念が深まっていた。
 宣言には、これまで繰り返されてきた米国の韓国に対する防衛公約の表明にとどまらず、米韓が核抑止を議論する「核協議グループ(NCG)」の創設など具体的な措置を明記。「核の傘」への関与を深めたい韓国には前進と言える。核不拡散体制を維持したい米国にとっても、韓国世論の核武装論は望ましくなく、韓国の希望に呼応した。

 米国の核作戦を韓国軍の通常戦力で支援する連携なども盛り込まれた。大統領府の金泰孝国家安保室第1次長は、核運用に関する情報共有と共同計画の仕組みを設けたことで、「国民が事実上、米国と核を共有して過ごしているように感じられる」と強調した。
 ◇核配備は否定
 NCGは北大西洋条約機構(NATO)加盟国が米国と核に関して議論する「核計画グループ」に倣ったとされる。ただ、米国の核兵器が配備されているNATOとは異なり、バイデン氏は会見で韓国に核を配備しないと明言。米高官も核兵器使用の権限は「米大統領だけが有する」と強調している。
 北朝鮮専門家の金東葉・北韓大学院大教授は「核武装論などを抑えるための見せ掛けにすぎず、拡大抑止強化の実質的な措置にはならない」と批判した。核武装論を提唱してきた鄭成長・世宗研究所統一戦略研究室長は、尹氏が核開発の可能性を否定したことを「非常に残念だ」と訴えた。
 ◇政権浮揚へ後押し
 一方、尹氏には訪米を通じて政権浮揚を図りたい思惑があった。3月の元徴用工問題の解決策発表と、その後の訪日で対日関係改善に踏み切ったものの、「屈辱外交」と批判的な世論に直面したためだ。
 対中戦略も踏まえ日米韓3カ国の連携を重視するバイデン氏は会見で、対日外交で難しい決断をした尹氏の「政治的勇気」を称賛。苦しい立場に置かれている尹氏を後押しした。
 尹氏は5月に広島市で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)に出席する。覇権主義的姿勢を強める中国や、ウクライナへ侵攻したロシアに対する明確な立場を問われる可能性もある。韓国世論の評価は、尹氏が対日関係改善の推進力を得られるかを左右しかねず、正念場が続く。(ワシントン時事)

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