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在留邦人に広がる不安 「スパイ行為」の対象拡大―中国

2023年04月27日08時40分

中国国旗(EPA時事、資料写真)

中国国旗(EPA時事、資料写真)

 【北京時事】中国の反スパイ法改正で「スパイ行為」の対象が拡大されることに、在留邦人の間で不安が広がっている。3月には北京で、アステラス製薬の50代男性幹部が同法に違反したとして国家安全当局に拘束されたばかり。容疑の具体的な内容は不明で、「何をしたら捕まるのか分からない」と戸惑いの声が聞かれる。

中国、反スパイ法を改正 定義拡大で取り締まり強化

 「不安しかない。疑われたら何でもありだ」。中国に通算10年以上駐在するインフラ業界の40代男性はこう打ち明ける。通常の業務ですら「スパイ行為」と見なされる恐れがあり、影響は大きいと指摘。3月の拘束事案以降は、社内向けの資料やメールの一つひとつに「過敏になってしまう」という。
 中国で「ゼロコロナ」の水際対策が緩和されて以降、日本からの出張者は増えている。北京駐在の40代男性は、最近の拘束事案を考慮し、出張者向けに計画していた視察の一部を取りやめた。業務に直接の影響はないものの「迷ったときの意思決定にマイナスになる。日本企業の投資意欲も減退させる」と語った。
 3度目の中国駐在という50代男性は、3月の事案直後、社内で情報管理や反スパイ法に関する研修があったと明かす。「備えようがないが、中国にいる以上、リスクの存在を認識しないといけない」と指摘した。
 一方、上海駐在の30代男性は「中国にいて、中国の人と付き合わないのはあり得ない」と強調。慎重な行動を心掛けつつも「神経質にならないよう」過ごすと述べた。
 2014年の反スパイ法制定以降、これまでに拘束が確認された日本人は17人。うち11人が帰国済みで、5人は拘束が続いている。1人は服役中に死亡した。日中関係筋は相次ぐ拘束について「日中関係の基礎である経済関係に、深刻かつ計り知れない影響を与え得る」と懸念を示している。

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