中電社員自殺、労災認める 遺族側が逆転勝訴―名古屋高裁
2023年04月25日19時35分
2010年に中部電力の新入社員だった鈴木陽介さん=当時(26)=が自殺したのは、過大な業務や上司のパワハラが原因だとして、母親の吉田典子さん(61)が労災の不認定処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が25日、名古屋高裁であった。長谷川恭弘裁判長は、請求を棄却した一審名古屋地裁判決を取り消し、労災と認定した。
長谷川裁判長は、上司の「お前は要らない」「こんなんで大卒か」などといった発言が「人格や人間性を否定すると評価できる」と指摘。業務内容についても「新入社員にとって難易度が高く、十分な説明や指導がされていなかった」として自殺との因果関係を認めた。
吉田さんは判決後に記者会見し、「陽介の仕事がどんなに大変だったか証明してくれた。きょうの判決は本当に良かった」と涙ながらに語った。
21年10月の一審判決は、上司の発言について「罵倒などの事実は見当たらない」と判断。業務内容も「他の新入社員と比べて過大だったとは認められない」としていた。
一審判決によると、鈴木さんは10年4月に同社に入社。三重支店に配属されたが、精神障害を発症し、同10月に自殺した。吉田さんが13年に労災申請したが、津労働基準監督署は認定しなかった。
津労基署の話 判決内容を検討し、関係機関と協議して判断する。
中部電力の話 訴訟の当事者ではないのでコメントは差し控える。