ウクライナが「一時奪還」 南部のドニエプル川東岸
2023年04月24日20時30分
米シンクタンクの戦争研究所は24日までに、ウクライナ南部ヘルソン州でドニエプル川西岸を解放したウクライナ軍が、東岸のロシア軍支配地域の一部に進軍し、初めて陣地を得たと報告した。ただ、ロシアの軍事ブロガーの情報によると、奪還は「一時的」だったもよう。戦争研究所は「ロシア軍は支配する都市部の防衛を優先し、川付近は無人にしていた可能性がある」と分析した。
要衝バフムト南北2カ所「奪取」 全域制圧へワグネル進撃か―ウクライナ
ロシアが侵攻を開始してから24日で1年2カ月となり、欧米から兵器を供与されたウクライナのゼレンスキー政権の大規模な反転攻勢がいつ始まるかが焦点。東部ドネツク州の激戦地バフムトだけでなく、前線一帯で双方が攻撃を仕掛けている。相手の兵力を分散させるための神経戦が展開されているとみられる。
ウクライナ軍が一時的に進軍した情報があるのは、ヘルソン州でロシア軍が強固な守りを築いていたはずの東岸の2地区。ウクライナ軍当局者は自国メディアに「沈黙が必要だ」と述べ、否定も肯定もしなかった。ロシア通信によると、ヘルソン州の親ロシア派政治家トップのサリド氏は「偽情報」だと反発した。
ウクライナ軍によれば、西岸にある州都ヘルソン市が23日までに、ロシア軍のスホイ35戦闘機による空爆を受けた。東岸の動きとの関連は不明だが、緊張の高まりを裏付けていると言えそうだ。
一方、バフムトではロシア側の猛攻が続き、ウクライナ軍は市内を南北に走る鉄道の西側まで撤退したという見方がある。ゼレンスキー大統領は23日の外国メディアのインタビューで「バフムトは放棄できない」と改めて強調した。
この中でゼレンスキー氏は、ロシアが北大西洋条約機構(NATO)と事実上戦っているのだという最近のプーチン政権の説明について「ウクライナより40倍も大きな国が勝利できていないと認めることは恥だからだ」と指摘した。
ウクライナ軍の大規模攻勢開始の時期に関し、先に流出した米機密文書から、5月9日の対ドイツ戦勝記念日前の「4月末」という説も出ている。ダニロフ国家安全保障・国防会議書記は「兵器が届けば(反転攻勢の)準備が整うことになる」と外国メディアを通じて支援を訴えた。