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国交省、ずさんな検査放置 知床事故後に厳格化―「責任重い」と遺族

2023年04月23日08時05分

 北海道・知床半島沖で起きた観光船「KAZU I(カズワン)」の沈没事故では、国の代行機関「日本小型船舶検査機構」(JCI)による検査のずさんさが指摘された。国土交通省は事故後、方法を見直すよう指導し、JCIは検査を強化したが、乗客の家族は「放置してきた国交省の責任は重い」と批判する。

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 国交省によると、カズワンは事故3日前の昨年4月20日、JCIによる年1回の中間検査を受け、合格した。運航会社の桂田精一社長(59)は時事通信の取材に「JCIの検査は車で言う車検」と述べ、検査に合格したから問題ないと思っていたとの認識を示した。
 ただ、当時の検査は不十分だった可能性がある。運輸安全委員会は昨年12月の調査経過報告書で、何らかの理由で閉鎖されていなかった船前方のハッチなどからの浸水が沈没原因である可能性が高いと指摘。一方、JCIの当時の検査事務規定は「外観に問題ない場合、ハッチの開閉試験を省略できる」とし、事故3日前の検査でも省略していた。
 国交省は確認が不十分だったとして、事故を機に規定見直しを指導し、JCIは今年1月の検査からハッチの開閉確認を必ず行うようになった。陸上で船底の傷を確認する検査も毎回実施するとした。
 遺族らは、事故が起きてから検査を強化したことに不満を抱く。ある遺族の女性は「安全を守るための検査や監査が全く機能していなかったことは大変残念だ」と批判。別の遺族の男性は「大きな事件が起きてから、初めて見直す体質を改めないとまた起こる。国交省は今まで何をやっていたのか」と怒りをあらわにした。

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