国境州の軍事パレード中止 5月の戦勝記念日―ロシア
2023年04月12日07時15分
ロシアでウクライナと国境を接するベルゴロド、クルスクの両州は、旧ソ連の対ドイツ戦勝記念日の5月9日に行われる軍事パレードを今年は中止すると明らかにした。首都モスクワで行われるパレードとは別に両州でも例年開催されてきたが、ウクライナ侵攻が長期化し、ドローンによる反撃が増えるなど治安情勢が悪化しているため、中止が決まった。
ウクライナ軍は、旧ソ連で開発されたTU141無人偵察機を改良したドローンにより、ロシア中部の空軍基地を攻撃したと伝えられている。このドローンは航続距離が1000キロとされ、理論上はモスクワに到達できるため、ロシア側は防空兵器の配備を進め、厳戒態勢で備えるもようだ。
ベルゴロド州のグラトコフ知事は今月5日、「敵を挑発しないため」として、昨年に続いて軍事パレードを中止するとSNSで明らかにした。インタファクス通信によれば、クルスク州のスタロボイト知事も10日、「現状を考慮してパレードを実施しないと決めた」と語った。
ウクライナと国境を接する別の州のブリャンスク州についても、中止されそうだという見方が出ている。地元メディアは10日、「例年ならリハーサルが始まっている頃だが、静かだ」と指摘した。
一方、タス通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は10日、モスクワの「赤の広場」でプーチン大統領が出席する軍事パレードについては「実施に向けて計画・準備されている」と述べ、予定通り行われると確認した。
ウクライナの実業家は最近、軍事パレード中に赤の広場をドローン攻撃した自国民に2000万フリブナ(約7000万円)の賞金を贈ると呼び掛けた。実業家は「(パレードは)正当な軍事目標だ」と訴えている。