ロシア勢復帰、5月決定へ 渡辺会長「権利守りたい」―国際体操連盟
2023年04月07日16時04分
ウクライナに侵攻を続けるロシアと同盟国ベラルーシの選手の国際大会復帰を「中立」などの条件付きで認めるよう国際オリンピック委員会(IOC)が勧告したことを受け、国際体操連盟(FIG)の渡辺守成会長はこのほどインタビューに応じ、5月の理事会でロシア勢らの復帰を決めることを明らかにした。
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IOC委員でもある渡辺氏は、当初から「スポーツと政治は別」との立場。IOCは軍所属選手らの復帰は認めないとしているが、「クラブが軍関係だったとして、(侵攻に関わらない)選手に罪はあるのか」と条件の一部には疑問を呈した。
3月末からキーウに滞在した。新体操関係者の葬儀参列のためだったが、依頼を受けてウクライナ政府高官と面会。「(ロシアの)選手の9割は軍や警察関係のクラブに所属している。彼らは兵隊予備軍なので復帰は許せない」と懇願された。
渡辺氏は理解を示しつつ、「ゼレンスキー大統領が国民を家族のように守るのと同様、私にとっては世界中の体操選手が娘であり息子。全選手が大会に出る権利を守りたい」と返した。それまで狂信的にも思えた政府関係者の目が、ふっと緩むのを感じたという。
5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)を前に各国の体操関係者が集まり、今月下旬に広島市内で平和イベントが開催される。ウクライナ侵攻で世界が分断される中、体操界が強いメッセージを送る。
発案者でもある渡辺氏は、日本のスポーツ界が平和貢献に果たせる役割はまだあると感じており、「戦争は一度始まったらなかなか終息できないし、始まらないためにスポーツ界として何ができるのか考えなければいけない」と語った。 (時事)