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若者の政治参加、官民で後押し 総選挙控え学校で模擬投票―公民教育に力・フィンランド

2023年04月02日07時04分

フィンランド史上最年少の34歳で国政トップに就き、取材に応じるマリン首相=2019年12月、ヘルシンキ(AFP時事)

フィンランド史上最年少の34歳で国政トップに就き、取材に応じるマリン首相=2019年12月、ヘルシンキ(AFP時事)

  • フィンランドの若者の政治参加を促す「アッリアンシ」の活動について説明するヤルッコ・レヒコイネンさん=3月29日、ヘルシンキ
  • 3月31日、ヘルシンキにあるクロサーリ総合学校で、公民の授業を受けるソフィア・ニコルスキさん(手前)
  • 3月31日、公民の授業を行うヘルシンキのクロサーリ総合学校の教室

 フィンランドの政界では、2019年にマリン首相が同国史上最年少の34歳で国政トップに就くなど、若い世代の活躍が目立つ。ただ、若年層の投票率は平均より低い。2日投票の総選挙を前に、未来を担う若者の政治参加を後押しする官民の取り組みを首都ヘルシンキで取材した。

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 ◇生徒9万人参加
 ヘルシンキ北部の集合住宅が立ち並ぶ一角。若者の協議会「アッリアンシ」の拠点を訪れると、上級顧問のヤルッコ・レヒコイネンさんが笑顔で迎えてくれた。
 アッリアンシは全国147の若者団体の連合体。主権者教育の一環として、1990年代から国政選挙ごとに、若者を対象にした模擬投票を企画してきた。
 今回の総選挙前の3月にも、全国800の小中高校の約9万人が参加する模擬投票を実施。この人数は「記録的」(レヒコイネンさん)といい、政治意識醸成を目指す活動が浸透しつつある表れと言える。
 ◇自分で調べプレゼン
 模擬投票を実施したヘルシンキのクロサーリ総合学校。ここでは公民教育に力を入れ、9年生(日本の中学3年生に相当)全員が週3回、公民を学習する。政治や選挙の仕組みを生徒自らがネットや本で調べ、プレゼンをする。
 模擬投票では、こうして得た知識などを基に支持政党を選び、一票を投じる。生徒のソフィア・ニコルスキさん(16)は「公民の授業はおもしろい。今は投票できないけれど、(18歳で選挙権を得た時のための)準備として役立つ」と話した。
 自身の考えに近い政党や候補者を探すため、国営放送提供のオンライン無料サービス「コンパス」も利用する。アッリアンシ研修生で大学で政治を専攻するユリア・ビヒネンさんは「若い人は気候変動や人権問題に関心が高い」と説明した。
 ◇閣僚に「質疑」
 フィンランド国会では若者の民主主義教育のため、本会議場を使った模擬国会「青年議会本会議」が隔年で開催される。14~15歳対象で、全国約150の学校から200人程度の「議員」のほか、学生記者も参加。議会広報部に所属する教育専門家ミッコ・トゥユラ氏が、専属でこの「本会議」を担当する。
 「本会議」には閣僚や国会議長が実際に出席し、生徒らが議員になり切って質問。トゥユラ氏によると、気候変動や防衛問題、選挙年齢引き下げなどが主な「議案」だった。「若い時から政治に関心を向けると、大人になっても維持される。一人ひとりが社会に参加している意識を持つことが、民主主義の強化に重要だ」とトゥユラ氏は強調した。

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