関係安定へ対話促進 日中外相、2日会談
2023年04月01日20時32分
【北京時事】林芳正外相は2日、北京で秦剛国務委員兼外相と会談する。安全保障分野などで日中間に課題が山積する中、対話を通じた「建設的で安定的な関係」の構築を促したい考えだ。ロシアの侵攻が続くウクライナ問題も提起。ロシアへの接近が目立つ中国に「責任ある行動」を求める。
林氏は1日に北京入り。岸田文雄首相と習近平国家主席が昨年11月、タイで会談し林氏訪中を調整することで一致したが、中国の外相交代などの影響で実現まで4カ月以上要した。
3月に習主席が訪ロしプーチン大統領と会談してから、先進7カ国(G7)の外相が訪中するのは初めて。林氏は会談で、国際社会が中国の対ロ姿勢を注視していると伝えるとみられる。31日の記者会見では、議長を務める今月のG7外相会合や5月のG7首脳会議(広島サミット)について「中国を含むインド太平洋地域の課題について議論する。今回の訪中も踏まえ議論を主導したい」と語った。
日中間では、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海情勢が最大の懸案だ。林氏は尖閣周辺領海への中国海警船の侵入が常態化していることを踏まえ、「深刻な懸念」を伝える。
中国が軍事的圧力を強める台湾情勢も取り上げる。昨年8月、中国が行った軍事演習で弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾。林氏は「台湾海峡の平和と安定の重要性」を訴え、自制を促す方針だ。
会談を前に、中国当局は「反スパイ法」違反としてアステラス製薬の50代社員を拘束した。一方、日本政府は31日、中国を念頭に半導体製造装置の輸出管理を強化する方針を決定した。会談では激しいやりとりが交わされそうだ。