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6年分の餌、一度に 深海生物オオグソクムシ―長崎大など

2023年04月01日13時35分

深海生物のオオグソクムシ(長崎大の八木光晴准教授提供)

深海生物のオオグソクムシ(長崎大の八木光晴准教授提供)

 深海に住む甲殻類の一種「オオグソクムシ」は、一度の食事で自重の45%もの餌を食べることを、長崎大などの研究チームが突き止めた。安静にしていれば約6年分の消費エネルギー量に匹敵するといい、研究チームは「チャンスが来れば逃さず食べる深海生物特有の生存戦略が明らかになった」としている。論文は1日までに、国際学術雑誌の電子版に掲載された。

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 オオグソクムシは、長年絶食しても生き延びることで知られるダイオウグソクムシの近縁で、体長10センチほど。腐った肉を食べるため「海の掃除屋」とも呼ばれる。深海に生息しており、代謝のメカニズムやエネルギー消費量などはよく分かっていなかった。
 長崎大の八木光晴准教授や大学院生だった田中章吾さんらは、オオグソクムシ計約20匹を水で満たした容器に20日ほど入れて、水中の酸素の減り方から代謝量を分析。ケンサキイカの切り身を食べさせて変化を調べた。
 その結果、オオグソクムシは最大で自重の45%もの餌を一度に食べると判明。水温10.5度で体重33グラムの個体の年間消費エネルギーは13キロカロリーだった。カロリーの高いクジラの脂身を同量食べたとすると、安静にしていれば約6年分のエネルギーに当たるという。
 研究チームは、オオグソクムシの住む深度や海底での分布を調べるため、長崎大の練習船などで調査を続ける方針。研究チームには信州大と琉球大も加わった。

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