石野、宿敵捉えた一振り 「逆転の報徳」秋の雪辱―高校野球
2023年03月31日19時36分
同点の八回1死一塁。報徳学園の4番、石野の心は決まっていた。「変化球も真っすぐも待っていたら打てない。割り切って速球を狙う」。マウンドに立つのは世代屈指の左腕、大阪桐蔭の前田。迷いを捨て、甘く入ってきた1球目を振り抜いた。
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「捉えた当たりだったので、外野は越えると思った」。痛烈な打球は左翼手の横を抜けてフェンスに到達。一塁走者が一気に生還し、5点差をひっくり返す決勝打となった。
昨年秋の近畿大会決勝では、前田から3安打しか打てずに0―1で完封された。野手陣はこの冬、「投手に申し訳ない」(堀)と悔しさを胸にバットを振った。石野は「前田を打つためにやってきた」。相手の先発は対戦を待ち望んだ宿敵ではなく、三回に5点を先行される苦しい展開となったが、「前田を出すぞ」とベンチの士気は落ちず。連打で1点差に迫った七回にマウンドへ引きずり出し、雪辱を果たした。
タイブレークを制した3回戦と準々決勝に続く劇的な勝利。「逆転の報徳」の異名をとる伝統校らしい粘り強さで決勝へたどり着いた。石野は「リベンジしたからといって満足せずに、最後まで勝ち切りたい」。春3度目の頂点を見据えた。