児童手当、所得制限撤廃 少子化対策、3年集中期間―「戦略会議」で財源議論へ・政府たたき台
2023年03月31日20時31分
政府は31日、岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」の具体策をまとめた「たたき台」を発表した。子育て世帯を支援するため、児童手当の所得制限を撤廃。多子世帯への住宅ローン軽減や、保育サービスを拡充する「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設を盛り込んだ。今後3年間を集中取組期間と位置付け、優先的に「加速化プラン」に取り組むと明記した。
児童手当、18歳まで支給延長 多子世帯に増額、所得制限撤廃―少子化対策たたき台
たたき台では、政策の裏付けとなる財源は明示しなかった。首相は31日、有識者や子育て当事者も交えた「こども未来戦略会議」を設置すると記者団に表明。財源も含めて議論し、6月の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」で、子ども・子育て政策の予算「倍増」の大枠を示す考えを改めて強調した。
児童手当の拡充では、所得制限を撤廃して全ての子どもに支給。支給期間は現在の中学生から高校卒業までに延長する。多子世帯への増額も検討する。具体的な支給額などは骨太の方針までに結論を得る。
子育て世帯の公的賃貸住宅への優先入居や、多子世帯を対象に長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の支援を強化する。
保育士の配置基準を見直し、1歳児は「子ども5人に保育士1人」、4~5歳児は「25人に1人」とすることで、より手厚い保育を目指す。「こども誰でも通園制度」は就労要件を問わず時間単位の保育所利用などを可能とする。
出産費用については、将来的な公的医療保険の導入を検討する。
国際的にも低水準にとどまる男性の育児参加を促すため、「産後パパ育休」を念頭に、手取りが実質的に10割保障されるよう育休中の給付金を増額。男性育休取得率の目標を30年に85%に引き上げ、子どもが2歳未満の期間に時短勤務を選んだ場合の給付制度を創設する。
小学生以上の医療費を助成する自治体に対する国庫負担金の減額措置は廃止し、地方の取り組みを後押しする。学校給食の無償化に向けた「課題の整理を行う」とも打ち出した。
高等教育費の負担が少子化の一因だとの指摘を踏まえ、返済不要の給付型奨学金の対象を拡大。卒業後に授業料を後払いする制度を24年度から修士課程の学生を対象に導入する。
一定の条件で社会保険料負担が生じる「106万円の壁」での手取り給与の減少を防ぐため、支援策を導入することも明記した。