信号認識、精度途上 自動運転レベル4、普及に課題
2023年04月01日07時15分
解禁された自動運転「レベル4」での乗客移動サービスを実施するには、場所や速度など特定の条件を明確にし、環境を整備する必要がある。自治体や企業が各地で実証実験を行っているが、全国的な普及には、信号や道路標識の認識など技術的課題が残る。
現在、実現可能性が高いサービスは、信号の付いた交差点が無い場合や、一般車両の通行がないなど限定された条件下での運行だ。
信号の灯色認識は、車載カメラで行うが、精度は100%ではない。逆光、大型車が前にいる場合などはカメラだけでは認識しにくくなる。色の変化や横断歩行者の有無などの情報を発信する装置を信号機に接続して、自動運転システムで受信すれば、認識精度は向上する。
しかし、警察庁はこうした設備の整備には慎重だ。3月にまとまった有識者らによる検討会の報告書は、「警察による信号情報提供装置の大規模整備や、交通規制情報の常時提供は現実的ではない」と結論付けた。車載カメラによる認識が原則で、2030年ごろまでは、限定地域でのサービスが想定されるため、事業者自身による整備が合理的だとした。
既存設備の老朽化対策を優先する必要があることや、車両メーカーによっては自律走行を基本としており、必ずしも信号情報が必要でないことなども理由だという。