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「魔女狩り」主張、吉か凶か 大統領選へ共和支持層動揺―トランプ氏起訴・米

2023年04月01日07時18分

トランプ前米大統領=2019年6月、ロンドン(AFP時事)

トランプ前米大統領=2019年6月、ロンドン(AFP時事)

 【ワシントン時事】トランプ前米大統領が、大統領経験者として米史上初めて起訴された。トランプ氏は検察による「魔女狩り」と逆手に取り、2024年大統領選に徹底的に利用する構え。だが同氏を巡っては、20年大統領選後の政権交代手続きを妨害した疑いなど「本丸」の捜査も並行して進む。共和支持層の動揺は不可避だ。

米共和、トランプ氏起訴で一斉に検察批判 民主は擁護、分断浮き彫り

 ◇逆境追い風に
 「終わらぬ魔女狩りから私たちの運動を守るため、寄付を」―。起訴の報道から間髪を入れず、トランプ陣営は資金集めのメールをばらまいた。「政治的迫害の被害者」を演じる効果は絶大だ。トランプ氏は18日に自身が「逮捕される」と予告してからわずか3日間で、150万ドル(約2億円)の寄付を集めたとされる。
 共和党では「言語道断の職権乱用だ」(マッカーシー下院議長)とトランプ氏擁護の合唱が起きた。将来の党指名候補争いのライバルでさえ、「検察の身柄引き渡し要求には協力しない」(トランプ氏が居住するフロリダ州のデサンティス知事)と寄り添う姿勢を示す。
 キニピアック大が23~27日に実施した世論調査では、62%が「主に政治的動機に基づく捜査」と答え、検察に厳しい目を向けている。
 ◇四つの捜査
 しかし、トランプ氏は今回の件とは別に、より深刻な三つの捜査にも直面する。一つは、大統領退任時に機密文書をホワイトハウスから私邸に持ち出していた容疑だ。さらに、20年大統領選で自身が敗北した南部ジョージア州に結果を覆すよう圧力をかけた疑いや、21年1月の連邦議会襲撃事件を扇動したり事態の沈静化に動かなかったりした疑いで捜査を受ける。
 こうした案件でも起訴されれば、今後、複数の刑事裁判と大統領選の両立という前例のない道を歩むことになる。同じキニピアック大の調査では、「刑事訴追された場合、大統領選の出馬資格を失う」とする回答は57%に上った。
 昨年の中間選挙では、共和党「トランプ派」の上院議員候補が重要州で敗退し、かつての神通力に陰りも見えた。検察との対決姿勢はトランプ派を結束させる半面、同党穏健派や無党派の一層の「トランプ離れ」を招く可能性もある。
 トランプ氏が党指名候補争いを勝ち抜けるかは、まだ判然としない。だがトランプ氏がもたらす亀裂が、大統領選を戦う共和党に暗い影を落とすことは間違いない。

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