日銀の地銀支援策、終了へ 再編後押し、試される自助努力
2023年03月31日07時43分
新型コロナウイルス禍で収益基盤が傷んだ地方銀行などを支援する日銀の「特別当座預金制度」が、今月末で終了する。支援条件とした経費削減が進み、再編も後押しするなど一定の役割を果たしたが、足元では欧米発の金融不安がくすぶっている。今後は各金融機関の自助努力が試される。
同制度は、日銀に当座預金を預ける地銀などを対象に、年0.1%の金利を上乗せするもので、2020年度から導入された。経費を一定比率以上削減すれば1年間、経営統合を決めれば3年間上乗せ金利が適用され、22年9月末までに支援対象の地銀は91行、支援額は合計で1057億円に上った。
全国銀行協会によると、この間、業務の効率性を示す経費率(OHR)は大きく改善。22年9月中間決算で、地銀全体のOHRは店舗や人件費の削減などにより20年3月期に比べ約3%低下した。全国地方銀行協会の米本努会長(千葉銀行頭取)は「経営基盤の強化を後押ししてもらう制度の効果は大きかった」と話す。
また、制度開始後に経営統合を決めた地銀は、青森銀行とみちのく銀行、八十二銀行と長野銀行など、6県12行・グループに上る。今年2月に第二地銀の神奈川銀行へのTOB(株式公開買い付け)を発表した横浜銀行の片岡達也頭取は、「(制度が)最後の背中を押す部分もあった」と打ち明ける。
ただ、地銀の経営環境は厳しいままだ。低金利の長期化で、本業で稼ぐ力は弱まっている。欧米の金利上昇により、外国債券運用で巨額損失を計上する例も相次いだ。先行きの不確実性が高まる中、生き残りに向けた競争は一段と厳しさを増しそうだ。