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死んだふり、北ほど長時間 米食う害虫で研究―岡山大

2023年03月30日13時33分

コクヌストモドキが死んだふりを続ける時間の違い。各地の円グラフの黒い部分は継続時間が中央値より長い個体の割合を示す(岡山大の松村健太郎研究助教提供)

コクヌストモドキが死んだふりを続ける時間の違い。各地の円グラフの黒い部分は継続時間が中央値より長い個体の割合を示す(岡山大の松村健太郎研究助教提供)

 国内に広く生息する害虫「コクヌストモドキ」が危険を感じた時に見せる「死んだふり」は、北に行くほど長く高頻度になることを、岡山大の研究チームが突き止めた。論文は30日までに、英科学誌バイオロジー・レターズに掲載された。

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 コクヌストモドキは米などを食べる甲虫で、ハエトリグモなどの捕食者に襲われると死んだふりをする。松村健太郎研究助教らは青森県五所川原市から沖縄県・西表島までの38カ所のコイン精米機でコクヌストモドキを捕獲。偏りを防ぐために繁殖させた上で、刺激を与えて死んだふりの様子を観察した。
 その結果、緯度の低い場所の個体の方が死んだふりをする頻度が低く、高緯度の方が高い傾向にあった。死んだふりをする時間は全体の中央値が約62秒だったが、それより長時間の個体の割合は西表島で約25%だったのに対し、五所川原市で約78%だった。
 生物の形質が緯度で変わる現象は「緯度クライン」と呼ばれる。松村さんは「死んだふりが有効かは環境により、環境は緯度によって変化する」と指摘。捕食者の大きさや種類が変わった影響の可能性があるという。こうした生態の解明は、より有効な害虫捕獲方法につながると説明している。

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