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中国、台湾統一へ「国共合作」 馬氏、南京事件追悼

2023年03月30日07時10分

29日、中国・南京市の南京大虐殺記念館を訪れ犠牲者を追悼する台湾の馬英九前総統(馬氏の事務所提供)(EPA時事)

29日、中国・南京市の南京大虐殺記念館を訪れ犠牲者を追悼する台湾の馬英九前総統(馬氏の事務所提供)(EPA時事)

 【北京時事】台湾の蔡英文総統による米国経由の中米歴訪と重なる形で、台湾最大野党・国民党の馬英九前総統が中国を訪れている。中国は蔡氏の民進党政権を「台湾独立勢力」と敵視する一方、来年1月の台湾総統選で国民党に政権を奪還させて台湾統一の道筋を付けたい意向で、現代版「国共合作」のシナリオを描きながら攻勢を強める。

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 1949年の中台分断後、総統経験者として初めて中国入りした馬氏は訪問3日目の29日、南京市の南京大虐殺記念館を訪れて犠牲者を追悼。記者団に対し「われわれ全中国人は(旧日本軍による南京事件から)教訓をくみ取らなければならず、(外国に依存しない)『自立自強』でこそ、いじめられたり、踏みにじられたりされなくなる」と話した。自立自強は習近平中国国家主席が米国などによる中国包囲網に対抗して使う言葉だ。
 中国メディアによると、中国政府で台湾政策を管轄する国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官は29日の記者会見で、「統一後も台湾は(中国)大陸と異なる社会制度を採用できる」と確認。「大陸市場は広大だ」として、統一を受け入れて中国と共に経済発展の道を歩むよう台湾の人々に呼び掛けた。具体的な問題にも触れ、台湾の水や電力の不足は協力による解決が可能だと述べた。
 馬氏は28日には、国民党を創設した孫文の墓を訪れ、「中華振興」の必要性を訴えた。習氏が掲げる「中華民族の偉大な復興」と酷似しており、馬氏による連日の中国寄り発言は、台湾の有権者の間で「国民党離れ」を招く可能性もある。
 対中協力を模索する馬氏は、対米接近を図る蔡氏と同じ4月7日に台湾に戻る。両氏のそれぞれの訪問は、総統選に大きな影響を及ぼしそうだ。

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