サンゴ礁をDNAで調査 海水中の微量でも種類判別―広域で変化把握・沖縄科技大
2023年03月29日17時09分
サンゴ礁の真上の海面で海水を採取し、含まれる微量のDNAを増幅して解析するだけで、サンゴの種類を大まかに調べる技術を開発したと、沖縄科学技術大学院大と沖縄県環境科学センター、東京大の研究チームが29日発表した。温暖化などによる死滅や変化を広い範囲で把握できるようになるという。論文は英王立協会紀要の電子版に掲載された。
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海や川、土壌などに含まれるDNAは「環境DNA」と呼ばれ、生息する動植物などを特定するのに利用される。サンゴは専門知識があるダイバーでないと種類の判別が難しく、環境DNAを使えれば実態の解明が進むと考えられていた。
サンゴは魚のようには動かず、DNAを含む粘液が海面付近に浮上する。研究チームは細胞小器官ミトコンドリアのDNA配列から、サンゴを種の上の属レベルで判別できるようにした。
沖縄本島沿岸約60カ所のサンゴ礁について、ダイバーが観察調査を行うと同時に、船上から海水を採取してDNAをフィルターでこし取り、大学に持ち帰って増幅、解析する作業を続けた。その結果、9割の地点で主な種類が潜水調査結果と一致。ミドリイシ類やハナヤサイサンゴ類などが多かったという。
沖縄科技大の佐藤矩行教授によると、現在判別できるのはDNA配列が解読されている45属に限られ、やや深い海では水中ドローンでサンゴ礁近くの海水を採取する必要がある。佐藤教授は「課題を克服し、調査する場所を広げていきたい」と話している。