反戦画少女の父に禁錮2年 判決前に姿消す―ロシア
2023年03月29日13時31分
ロシア中部トゥーラ州の学校で昨年、10代前半の女子生徒がウクライナ侵攻に反対する絵を描き、父親が今月1日に逮捕された。女子生徒は児童養護施設に入れられている。同州エフレモフの裁判所は28日、父親がインターネット交流サイト(SNS)の投稿で軍の信用を傷つけたと認定し、求刑通り禁錮2年の判決を言い渡した。父親はSNSが乗っ取られたと訴えている。
父親は女子生徒と2人暮らしだった50代のアレクセイ・モスカリョフさん。独立系メディアによると、自宅軟禁されていたが、判決直前の28日未明に姿を消した。当局が捜している。
女子生徒は昨年4月の美術の授業で、ウクライナの親子にロシアのミサイルが飛んでいく様子を描き「ウクライナに栄光あれ」「戦争反対」の文字を添えた。校長が通報し、モスカリョフさんは警察に連れて行かれ、捜査が始まった。
逮捕と自宅軟禁を経て今月27日、公判は即日結審。モスカリョフさんは最終陳述で「ウクライナ特別軍事作戦(侵攻)をどう思うかと聞かれれば、傍聴席の90%以上の人が反対と言うと思う。私も同じだ。大人も子供も死んでいる」と反戦の声を上げた。
親子が引き離された事件は内外に衝撃を与えている。女子生徒は施設を通じて父親宛ての手紙を弁護士に託し、その中で「お父さんは英雄」と勇気をたたえた。
モスカリョフさんの所在に関し、侵攻を批判してフランスに亡命したロシア政府系テレビの元職員マリーナ・オフシャンニコワさんは28日、ロシア国内で支援者の保護下にあることをSNSなどで示唆した。